これを日本全体の範囲に拡大した金融資産と金融負債は、2024年3月末時点で、資産と負債どちらも1京1038兆円となっており、足すと当然「ゼロ」になる。

そして日本国中の全ての実物資産を合計したものが、将来のGDP産み出す基礎となる「国富」と呼ばれるモノで、こちらは2024年3月末時点での日本の国富は3683兆円となっている。

この金融資産・金融負債は帳簿上の数字なので、当然どこの国でも、アメリカであろうが中国であろうが、もっと範囲を広げて世界全体で見ても、必ずバランスする。バランスしなければ計算が間違っている。そして金融資産と金融負債を足すと必ず「ゼロ」になる。

FRBの統計によると2023年末時点でアメリカ金融資産は349兆ドル(5京2350兆円:1ドル=150円)もあり、日本の約5倍だ。これは特にアメリカの家計金融資産が爆増して、日本の家計金融資産の8倍にもなっているからだ。しかし忘れてならないのは、その裏には必ず金融負債があることだ。

アメリカの金融負債の多くは企業が株式という、企業から見たたら負債の形で抱えている。ダウやS&P500がバブルでどんどん膨らんでいるので、アメリカの家計金融資産が爆増しているに過ぎない。これは同時に、企業側から見た金融負債が爆増していることを意味する。

株価は将来的に企業が価値を生み出し「配当」することを前提に、価格が決定している。もし配当出来ないのであれば、それを「バブル」という。

何度も繰り返し言うが、金融資産と金融負債は、帳簿上の幻の資産と負債であり、足すと必ず「ゼロ」になる。そして金融資産と金融負債は「ストック」であり、どれだけ沢山あっても「フロー」に使うことは出来ない。大切なのは、如何にして「フロー」=「GDP」を増やすかだ。「ストック」では無い。