先ずは自国である日本のことを基礎から知るべきだ。しかし残念なことに日本のメディアは非常に偏っているし、経済学の理解が十分ではない。
例えば、よくメディアで日本は輸出大国で、貿易立国だと言われている。貿易黒字で稼いでいるという趣旨のものだが、データをきちんと見てみると日本が貿易立国だったことは歴史上一度も無い。
貿易黒字が国民の儲けの合計であるGDPに占める割合など非常に僅かだ。日本の高度経済成長期と言われる1955年〜73年の大部分は貿易赤字で、GDP寄与度が一番大きかったのは1985年だが僅かに3.8%しかない。これで立国はできない。その後も基本的に1~2%前後で推移してきたが、近年は赤字が続いている。1955年からの平均値では僅かに0.9%しかなく、1%にも満たない。
本当に貿易黒字で稼いでいて、国が成り立っているのであればとっくに滅亡している。
日本は貿易ではなく、国内市場が大きくなることで成長してきた。終戦直後7千万人程度だった人口が、爆発的に1億2千万人を超えるまでに増え、一人一人の生活水準も上がることで消費が増え、それに応えるための投資が増えることで成長してきた。
当然その過程で国内外を含めた「交易」は非常に大切なものであったが、貿易で稼ぎ立国してきたなどは全くの見当違いだと断言できる。