トランプの当選が決まり、次期政権の人事や政策の方向性が出てくるにつれて、米国の長期金利が上昇している。2024年1月14日時点で4.79%になっている。その結果S&P500との「イールドスプレッド(Yield spread)」が0.52%まで上昇してしまった……何のことやら?

金融の専門家の話は、一般人が使わない言葉がたくさん出てくるので全く理解ができない。しかしイールドスプレッドに関しては色んなことを示唆しているので、理解しておいた方がいいと思う。

先ず「イールド」とは「利回り」のことで、「スプレッド」はその名の通り「差」のことだ。では何と何の差かというと「米国10年国債利回り」と「S&P500の株式益回り」の差のことだ。

米国10年国債は長期金利の代表的な指標であり、最も安全な資産(=無リスク資産)だ。無リスクなので絶対にデフォルトすることはない。しかも今購入して満期まで持つと4.79%の利回りを確実に受け取れる。

一方のS&P500は、日経平均やダウ平均などと同じ株価指数で、米国を代表する500社を総合した指数だ。そして「株式益回り」とは、1株当たり利益(=純利益)を株価で割った値だ。だから投資額(=1株価格)に対して、投資リターン(=1株当たり利益)が何パーセントかという意味となる。

昨年から始まった新NISAの解説で、最近よく「PER(株価収益率)」という指標を目にする。このPERは株価が収益の何倍かを表す指数なのだが、「株式益回り」は、このPERの逆数となっている。だからPERが25倍であれば株式益回りが4%(1÷25)、PERが20倍であれば株式益回りが5% (1÷20)となる。

そして現在のイールドスプレッドは、米国10年国債利回り4.79%−S&P500株式益回り4.27%=0.52%になっていると言うことだ。