それでイールドスプレッドが0.52%まで上昇してしまったことが、何を意味しているのか?
金利はリスクに対する報酬だ。お金を貸す人は、借りた人が失敗してお金が返ってこないリスクがある。だからそのリスクの対価として金利を取るのだ。
先ほど説明したが、米国10年国債は最も安全な資産(=無リスク資産)だ。だから金利は最も低くなるはずだ。しかし現在はS&P500の株式益回りが、その最も安全な資産である米国10年国債利回りより低くなっているのだ。株式は当然リスクがあるので、この現象は論理的には説明できない。
イールドスプレッドの基本レンジは-2%から-4%程度だ。しかしスプレッドが上昇して0%を超えることもある。過去においてスプレッドが0%を超えてきた場面は、ITバブル時にあった。この時はスプレッドが+2%まで上昇した。
スプレッドが0%を超える状況は、株価が理屈では説明できない割高な状況を示すので、この状況はそう長くは続かない。ITバブル時は+2%台まで上昇した後にバブルが崩壊し、その後10年程度低下を続け、リーマンショックも相まって最終的に-8%台まで低下した。
