日本の水道管の長さは74万kmもあるらしい。これは地球と月を往復する距離と同じ。地球の周長が4万kmなので、水道管は地球の18.5周!もの長さになる。
これを知った時は、にわかには信じられなかった。更に信じられないのは、日本人一人が1日に使用する水の量が300Lにもなっていることだ。2Lのペットボトル150本!分にもなる。飲料水としては1日1本飲めるかどうかだと思うが、その150倍も使っているとは全く知らなかった…
我々は非常に恵まれていて、この巨大なインフラが我々の生活を支えてくれている。
しかし伸び切ったインフラは北見市のように限界を迎えようとしている。水道管の老朽化は進行し、40年以上の老朽水道管は2割を超えている。老朽化した上下水道管からの漏水が、道路下の土を押し流し空洞を作ったことが、茨城県の道路陥没事故という悲劇を引き起こした。
国交省によれば、公共投資が現在と同水準を維持できたとしても、2030年には新設に充てられる資金は31%まで減少するという。逆を言うと69%は維持更新の費用が占めるということだ。しかも公共投資を現在の水準で維持することは、ほぼ期待できないので、維持更新費用の割合は更に増加する。
建築においてはLCC(Life Cycle Cost)という非常に大切な考え方がある。これは建設から運営維持管理を含めた建築寿命(40~50年)のトータルコストのことだ。この中で建築コストが占める割合はわずかに25%しかなく、氷山の一角に過ぎない。本当に大きいのは運営維持管理コストの方なのだ。
