ホッブスは著書「リバイアサン(1651年)」の中で、「人間社会は、万人の万人に対する闘争」と述べた。一方でロックは著書「市民政府二論(1690年)」において、「人間は法の下で、生命/自由/財産を守る権利を持っている」と述べた。

ホッブスが前提としているのは「農業」で、土地は有限であり、それを奪い合うから「万人の万人に対する闘争」となる。

しかしロックが前提としているのは「商業」で、労働を加えると財は増えると考えている。そして、新たに創出した付加価値を守るためには、政府を組織する必要があると述べている。

少し話は逸れるが、この二人の考え方がルソーの「社会契約論(1762年)」に影響を与え、更にフランス革命へと導いていく。

話をホッブスとロックに戻すと、実はこの二人の思想の違いは、現在でも根深く残っている。「経済は限られたパイを奪い合う弱肉強食だ。」「パイは有限で、誰かの得は誰かの損だ。」という“ゼロサムゲーム”を基本とした「万人の万人に対する闘争」的な考え方と、「経済(パイ)は労働を加えることによって増える。」「何かに特化して生産(パイ)を拡大し、それを交易によって交換する方が双方にとって得だ。」とする「パイを増やしてからみんなで分ける」的な考え方だ。

この思想の違いを理解しなければ、世界に大きな「闘争」を引き起こし、世界を混乱と低迷に陥れてしまう。

そう現在のアメリカ大統領トランプのように。