国債の別面を理解するために、BIS規制(自己資本比率規制)について説明したい。BIS規制は銀行が国際的な銀行システムの安全性を高めるために1988年にスイスのバーゼルで合意された。現在は3度目の改訂ということでバーゼルⅢと呼ばれる。貸出し等の資産に占めるリスク・アセットを分母として、自己資本を分子とした比率を自己資本比率と言う。国際業務を行うためには自己資本比率が8%以上必要となる。
自己資本÷リスク・アセット=自己資本比率(8%以上)
そして大切なのは「国債」はリスク・アセットに参入されないということだ。内国債であれば原理的にデフォルトすることはあり得ないのでリスク・アセットでは無い。なので、例えば銀行が1兆円の国債を購入しても自己資本比率は変わらないということだ。我々一般人から見ると「本当にそれで良いのか?」と疑問に思ってしまう。しかも国債を購入するはお金は、信用創造によって「元手ゼロ」で、いくらでも作り出せる。これも我々一般人から見ればマジックだ。まったく銀行とは何なのか…まぁ金融など所詮どこまで行っても「ゼロ」だが。
そこで国債がリスク・アセットに参入されないのであれば、一番簡単な方法は政府が国債を発行し、銀行に購入させ、その購入代金を銀行に資本注入(出資)することだ。そうすると自己資本比率が強化され、その分の不良債権の処理が可能となる。何か「タコ足食い」のようで少し気持ち悪いが、金融などそんなモノだ。
バブルの処理でこの方法を取っていれば、失われた30年は無かった。結果的に100兆円の不良債権処理が行われたと言われているが、問題は100兆円ではなく、100兆円÷8%=1250兆円!もの信用収縮なのだ。GDPの2倍以上の巨大信用収縮があれば、成長などできるはずがない。