しかし、その食料自給率66%と比べて、2020年で11.3%と極めて低いエネルギー自給率の危機的状況はおざなりにされている。

2011年の東日本大震災までは原発が稼働していたので、エネルギー自給率は20%を超えていたが、原発稼働停止と共に約半分まで減ってしまった。確かに原発の問題は賛否両論あり難しい問題ではある。だが人間はパニックを経験すると極端に振れる傾向(行き過ぎる)があることを忘れてはならない。

そして、もう一つ絶対に忘れてはならないことが、第2次大戦の原因は正にエネルギー問題だということだ。

現代人1人が1日で必要な食糧カロリーは約1,900kcalだが、1人の生活を支えるためのエネルギーは94,000kcal使用されており食糧カロリーの約51倍にもなる。社会を維持するためには大量のエネルギーが必要なのだ。1人の生活に51人の奴隷が要るようなものだ。これが少しでも滞ると社会はあっという間に崩壊する。昭和天皇が仰っていたように、「先の戦争は油に始まり油に終わった。」事実を忘れてはならない。

日本の石油輸入の中東依存度は91.9%にも達している。イスラエルとガザ地区を見ても中東は非常に不安定だということは、誰もが分かっていることだ。それでも何も無ければ行動に移さないのが日本だと思う。

しかし日本人は不思議だ。表面的に冷静なように見えて、常に熱狂とパニックを繰り返している。

幕末維新から日清日露、第1次大戦までの熱狂。

昭和恐慌から満州事変、太平洋戦争までのパニック。

戦後高度成長期から所得倍増、バブルまでの熱狂。

バブル崩壊からデフレ、失われた30年までのパニック。

次はいったい何が来るのか。