1990年代からのアメリカの繁栄は、①グローバリゼーションによる供給力の増大。②金融自由化による金融資本主義の収益増大。③IT企業(GAFAM)の台頭に支えられている。
①に関しては、貿易を通じて、自国の自給自足では到底得ることの出来ない消費が可能となった。特に中国の台頭がアメリカの供給力を支えた。
②に関しては、アメリカの金融機関は「世界の銀行」となった。周知の通りアメリカは巨大な経常収支赤字国で、「対外資産<対外負債」となっている。普通に考えると1次所得収支(配当・利子収入)は赤字になるはずだが、2000年以降一貫して黒字をキープしている。これはアメリカの金融業の稼ぐ力が突出していることを表している。要は「世界の銀行」として、安く調達して高いリターンを得ているから所得収支が黒字なのだ。
③に関しては、S&P500の中でGAFAMと、その他の495社の株価推移に分けてみると非常によく分かる。その他495社の株価は日本のTOPIX(東証上場)の推移とほぼ変わらないが、GAFAMの株価は遥かに上を行っている。S&P500の株価が僅か5社によって大幅に引き上げられている現状が理解できる。
しかしデカップリングが進めば、①と②は大きな影響を受ける。アメリカはインフレになり、世界GDP成長が鈍化し「世界銀行」の収益性が激減する。
③に関しては、今後も本当に成長できるのかに大きな疑問がある。iPhoneはすでにコモディティ化し、その他の企業の収入は所詮は「広告収入」が大半を占める。2021年の広告市場規模6536億ドルで、世界GDP(178ヶ国)93兆9395億ドルに占める割合は僅かに0.7%だ。IT企業というと何か特別な収入がありそうだが、そんなモノは存在しない。。。この株価は一体何なのだ?