そんな中、マルコム・マクリーンという元トラック運転手が1956年に最初のコンテナ船を就航させた。陸上輸送のトラックと海上輸送の船舶を、四角い箱の「コンテナ」で繋ぐという、一見簡単そうでありながら世界の貿易を根底から変えた発明だ。
世間的にはIT化、DX、AIなどが華々しく取り上げられる一方で、コンテナなど退屈なただの20フィートの箱だというイメージがある。私もコンテナを利用したコーヒーショップやホテルなどには興味があったが、コンテナ自体に何か意味を感じることは無かった。
しかしマルク・レビンソンの著書「コンテナ物語」を読んで、コンテナこそが世界の物流を変え、世界の貿易のあり方を変え、世界を豊かにした主役だと知った。誰もこんな四角い箱が世界を変えたなど、想像もできないと思う。私も当然そうだった。世の中はITだAIだメタバースだとバーチャル世界の話題ばかりだが、本当に世界を変えるのはやはり実物の世界だ。
いずれにせよ、マクリーンが発明した「コンテナ」のおかげで、輸送コストは劇的に下がりリカードの比較優位論が現実のものとなった。
そこから本当の意味でのグローバリゼーションが始まり、中国が「世界の工場」として重要な役割を担うようになる。そしてリカードの予言通り世界が大きく豊かに繁栄することとなった。