組織を内部から変えるのは非常に難しい。だから組織を変えるために、多くの金を払って外部のコンサル会社を入れたり、トップを組織外や他業界からヘッドハンティングしてきたりする。組織の中には、まさに「内巻」と言える独特の文化が存在する。独特の文化は「エコーチェンバー現象(同じ意見や立場の者同士でコミュニケーションを繰り返し、その意見が強化される現象)」によって、どんどん強固になり、内部の人間では決して解決することは出来ない。そこでコンサルや外部からトップ就任が必要となる。

しかし稀に内部から「変人」が出現することがある。日本では2001年に内閣総理大臣に就任した小泉純一郎だ。彼は「自民党をぶっ壊す!」をスローガンに、自身の政策に反対する全ての人を「抵抗勢力」として糾弾した。組閣に当たっても派閥の推薦を一切受け付けず、民間から竹中平蔵氏を経済財政政策担当大臣に就任させるなど「官邸主導」と言われる流れを作った。そして「構造改革なくして景気回復なし」として、既得権益の巣窟とされた道路公団、石油公団、住宅金融公庫を解体民営化し、そして改革の本丸として郵政3事業を解体民営化した。

まさに当時の自民党的理論から考えると、とんでもない「変人」で、既得権益を壊し、政財界の癒着を潰し、公務員の倫理観を正常に戻した。その「自民党をぶっ壊す!」というスローガン通りに、自民党の既得権益がぶっ壊れた。