バブルは顔を変えてくる。オランダのチューリップバブルに始まったバブルは、同じ不動産バブルでも日本のように極端な円高に端を発するものや、アメリカのリーマンショックのように証券化という技術に端を発するもの、中国の市場経済導入に端を発するものと顔を変えてくる。
今回のバブルは、ITやAIなどの「未来の夢」に端を発し、コロナ禍でFRBが大量のマネーをバラ撒いたことが火に油を注いだ。
バブルは顔を変えてくるが、根っこは同じで「熱狂」だ。心理学的にも熱狂は伝播する。その熱狂がもたらすものは常に資産効果(膨張)だ。本来はたいした価値の無いものが、すごい価値を生むものと誤認され、マネーが大量に創出される。
前にも説明したが金融資産はあっという間に増える。そのマネーが大量の消費や投資を誘発し、狂騒的な好景気を生み出す。日本人の中には平成バブル当時の狂騒感を覚えている人がまだ沢山いると思う。あれは一種の集団催眠の状態だ。
しかし忘れてはならないことは、金融資産は消える時もあっという間ということだ。
社会は確実に良くなっているが、その進歩は想像のように早くはない。著書「Invention and Innovation」でバーツラフ・シュミルは、古来より様々な技術(核融合、窒素固定化、超音速飛行、ハイパールーフなど)が期待されてきたが、そのどれもが実用段階はおろか技術的突破段階にも来ていないと述べている。
夢を見ることは大切だし、バブルは必要悪だと思う。しかし現実的には、鉄腕アトムもドラえもんも、まだ世の中には存在しない。