このような流れの中で、多くの行政が念仏のように唱えているのが「コンパクトシティ」だ。コンパクトシティとは、住まいや交通、商業施設、公共サービスなどの生活機能をコンパクトに集約して、効率的な土地利用と持続可能な開発を行う都市、またはその政策を意味する。

日本で有名なのは富山市で、「鉄軌道をはじめとする公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、行政、文化等の都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくり」を目指しており、「お団子と串の都市構造」と言われている。多くの行政が、富山市を参考に色々検討を重ねているようだ。

九州で有名なのは熊本市だ。熊本城を中心とした城下町で、平野が広く水が綺麗で緑も豊富な非常に美しい街だ。しかし平野部が広大な熊本は「あまりにも条件が良かったため」、逆に郊外化が進んでしまった。

そこで熊本は「中心市街地と15の地域拠点に都市機能を集中し、公共交通で連結する“多核連携都市”を実現する。」という計画を立案した。その中では、交通の要衝となる鉄軌道駅やバス停・電停等から、概ね半径800m圏を「都市機能誘導地区」として設定している。これは広がりすぎた郊外エリアを、一定エリア内に引き戻すことを目指している。計画はまだまだ始まったばかりで、人口減少との競争にはなるが、良い方向に進んで欲しいものだ。