街に必要なのは職住遊が一体となった「用途の複合化(Mixed Use)」だ。昔はどんな小さな村でも職住遊が一体となっていた。しかし郊外のベットタウンの開発などで、先ず「職」と「住」が分離し、そして中心市街地の「遊」が衰退した。

京都大学経済研究所の森知也氏が指摘した「都市レベルの変化」の、①人口の周辺への分散化(=都市の拡大)、②人口密度の平坦化(=減少)、が1970年以降に起こり、中心市街地が衰退した。

そして郊外の「寝るための街=ベッドタウン」も、高齢化により「寝たきりの街=ナーシングタウン」になっている。コルビジェの影響を受け、用途ごとに区域を分割した都市計画の結果、中心市街地の人口が減り、中心市街地も郊外も含めた都市全体が衰退に向かっている。

課題は明確だ、周辺のインフラを整理縮小し、用途を複合化し中心市街地への居住を進め、人口密度を高める。

人口減少社会の中で、一人当たりのGDPを減らさない(=生活の質を落とさない)ためには、生産性を高め、支出を減らす必要がある。人口密度と生産性及び維持管理コストは密接な関係がある。地方都市は、人口減少の中でも生活の質を落とさないためには、ジェイコブズが言っていた「多様で複合的なコンパクトな街づくり」を実行に移さなければ、生き残る道はない。