2024年7月ドル円レートは161円を突破した。現在2024年9月の時点では142円台を推移している。
近年の嵐のような円安が輸入物価を押し上げ、ジワリとインフレが加速した為にワイドショーなどでも円安が原因で庶民が困窮しているとの報道が多くなった。確かに円安によるインフレは間違いなく起こっているが、ではどれくらいの水準が適正なのだろうか?
一つの指標として購買力平価という考え方がある。為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという考えで、たとえば米国では1ドルで買えるハンバーガーが日本では100円で買えるとするとき、1ドルと100円では同じものが買えるので、為替レートは1ドル=100円が妥当だという考え方だ。それを色んな商品やサービスを加重平均して求められているので、理論的には為替レートの本来あるべき水準だと考えられる。
しかし実際の為替レートは理論値には収まっていない。現在は円安が問題になっているが、1985年から2000年代にかけては、今よりもっと「異常な円高」の時代が続いていた。だから当時は海外に行くとジャパンマネーが世界を席巻しており、日本人が海外でブランド品を買いまくっていた。その異常な事態を生み出したのは、1985年のプラザ合意に基づく、世界協調のドル安政策だ。
当時は為替が本来あるべき水準である購買力平価から85%も高い水準まで、異常円高が進行した。今回の円安161円は購買力平価から△41%の水準なので、当時の85%もの円高がいかに異常だったか想像できると思う。
現実の為替は「美人投票」なので、極端に振れやすいが、中長期的には購買力平価に収斂していく。現在142円程度で推移しているが、それでも異常円安の水準なので普通に考えると今後も円高へ向かうと考えられる。