日本の地方都市に「パリを見慣れ」と言っても、現実的ではない。しかし7階建程度でも空間を有効利用すれば十分な人口密度を確保できることを認識するべきだ。

日本は、とにかく建物がバラバラで、高さもまちまちだ。街中でも2階建や3階建が多く、平屋も結構ある。だから、どんなに高い容積率(例えば東京の2000%!)が設定されていようと、実際には全く利用できていない。なんと日本の中心である東京23区で平均使用容積率は136%しかないのだ!(山手線内でも僅かに236%!)

東京がこの状況であれば、地方都市は「推して知るべし」だ。本来は使えるはずの容積率が全く利用されず、結果として郊外化を招き、中心市街地が衰退した。

地震大国であるために、ほとんどが「木造建築」で、構造や消防の原因で「高度利用」が出来なかったことをキッカケとして、ル・コルビジェの「輝ける都市論」に影響を受けた「ゾーニング法」で都市計画を行ってしまった末路がここにある。

しかし「課題」が明確になれば、対策も自ずと見えてくる。下僕の故郷の長崎に「端島(軍艦島)」という島がある。ここは炭鉱の島であったが、最盛期には約5300人が、この僅か約0.063k㎡(南北は約480m、東西は約160m)の島に暮らしており、ビリヤードやスナック、映画館、パチンコまであった。人口密度は驚きの約84,000人/k㎡!もある。これは現在の東京山手線6区の5倍、マンハッタンの3倍!もあるのだ。

端島は1974年に閉山となり、現在は世界遺産に登録されている。端島は色んなことを教えてくれる。「職住遊」を一体として複合利用し、高度化を図り「容積率を有効利用」すれば、郊外化など必要はないことを。