雨量が多い地域は「土」の栄養分が足りない…本当だろうか? 赤道低圧帯には非序に降雨量が多く、ジャングルが生い茂っている。とても栄養分が足りないようには見えない。
しかし実際に熱帯雨林の土を掘ってみると、栄養分の多い表層土は薄く、その下には風化した養分の乏しい土が広がっている。だから森林伐採をすると最後、不毛の土地になってしまう。しかも熱帯雨林の土はph4(ph7が中性)程度の「酸性」で、「リン」も非常に少ない。では何故、樹木の成長量が日本の3倍!もあるのだろうか?
その謎は樹木の根に「外生菌根菌」と呼ばれる「キノコ」が共生しているからだ。馴染み深いところではマツタケ、シメジ、トリュフも外生菌根菌の仲間だ。 外生菌根菌は「岩を食べるキノコ」とも言われており、有機酸を出して地中の岩やアルミを溶かして、中に閉じ込められている「リン」を取り出し吸収し、樹木の根に渡している。その見返りとして樹木は一生懸命光合成をし糖をつくり、 外生菌根菌に渡している。このコラボレーションは見事であるが、土は「酸性」で栄養分が足りない問題は残る。
一方の草原地帯などの乾燥地帯では、雨で地下に流されたカルシウムが二酸化炭素を吸収し炭酸カルシウム(石灰岩の主成分でチョークの原料)となり地下水に沈澱するが、蒸発や蒸散で地下水が上昇し、炭酸カルシウムが地表近くに堆積する。これが乾燥地の「土」をアルカリ性にするということだ。
だから低圧帯の多雨地域の「土」は酸性で栄養分が乏しく、高圧帯の乾燥地域の「土」はアルカリ性で栄養分が豊富となる。