3回目の波は、2020年後半から2021年にかけての時期だ。この時期は新型コロナパンデミックで世界がパニックになっていた時期だが、中国は桃源郷的な小春日和の時期を迎えていた。2019年12月に武漢で発生した新型コロナは、2020年には世界中に広がったが中国国内においては武漢を2020年1月から4月まで封鎖することで、その後は拡大することが無かった。そしてより感染力の高いオミクロン株が2022年に出るまでの約2年間、中国は世界で唯一新型コロナを抑えることが出来た国となり、世界の惨状を横目に小春日和を満喫していた。
その間は「中国は凄い!世界で唯一コロナにも勝った!」という雰囲気が漂うなか、不動産の取引が再度活発化した。当然ながら取引量が増えると価格が上昇する。中国政府からは2020年時点で「房住不炒(住宅は住むもので投機対象ではない)」や「三道紅線(レッドランを超えた不動産企業には融資できない)」などの明確な不動産抑制のサインが出ているのに、中国は特別で不動産はまだまだ上がると言う根拠の無い空気が漂い、上海の不動産はついに70000元/㎡を超えた。
しかし小春日和は長くは続かない。2021年末ごろから世界がコロナとの共生を進める中で、コロナとの戦いを止められない中国は2022年3月28日から5月31日にかけて上海を2ヶ月も封鎖し、その後も勝ち目の無い戦いを年末まで続けた結果、回復が世界から1年以上遅れることとなった。