第3の歪みについては、上海などの大都市にはまだまだ開発の余地がある。東京が1990年代後半に住宅の都心回帰を促す政策を取り、2000年代には都心回帰が大きく進んだ。

中国政府も住宅の都心回帰を図る必要がある。それと政策的なサポートも大切だが、何よりも政府が主導してドンドン投資することが大事だ。不況を脱する鍵は供給側では無く需要側にある。政府が公共投資を増やすと、総需要が乗数効果で何倍も増える。ケインズは「紙幣を埋め、企業に掘らせるだけでも良い」とまで言っている。乗数効果=1÷(1−C)となる。Cは収入増の内何割を消費に回すか。例えば6割を消費に回すとすると1÷(1−0.6)=2.5倍の需要が増える。

そして販売価格は年間家計収入の6倍程度に設定する。そもそも住宅の工事単価は、僅かに5000元/㎡程度(※内装込みの単価。中国はスケルトンが一般的なので普通は3000元/㎡以下)なのに、上海の住宅単価が70000元/㎡で工事単価の14倍!というのは、どう考えてもおかしい。正常に戻す必要がある。