2023年10月27日、国務院から『保障住宅建設計画の指導意見』(略称「14号文」)という方針が出された。これは保障性住房と呼ばれる「非常に廉価な政策住宅」を政府主導で大量に供給し、サラリーマンなどの給与所得労働者に提供するという方針だ。シンガポールの住宅政策によく似ている。シンガポールでは85%以上がこのタイプの政策住宅で、商業住宅(政策の制限が無い住宅)と2分されている。当然、シンガポールは土地も少ないので、商業住宅のみだと価格が非常に高くなり、富裕層でなければ購入できない。しかし政策住宅のおかげで一般の市民も少なくとも基本レベルでの居住には心配が無い。
中国は住宅政策で香港方式を選択してしまったが、本来はシンガポール方式を採用すべきだった。せめてもう少し早く方針転換すべきであったが、熱狂の中での転換は非常に困難であったことも間違いない。
熱狂がもの凄い勢いで中国のインフラを整備させたのも事実で、これは将来のGDPを生み出す基礎となる。
いずれにせよ非常に良い方向に向いているのは間違いない。しかしこれはバランスシート「帳簿」の修正と同時に行う必要がある。そうでなければ「房奴」のような時代の中で大量の負債を背負うことになった人々を切り捨てることになり、大きな歪みを生み、未来への期待を萎ませてしまうからだ。