中国には1京5700兆円=785兆元の金融資産と金融負債がある。日本の1.5倍の規模だ。そのうち家計負債78兆元のうち38兆元が家のローン残高であり約48%を占める。また企業債務475兆元のうち65兆元が城投公司の債務、7兆元が不動産企業上位100社の債務になる。この3つを合わせると110兆元となり、中国の金融資産負債の約16%となる。

まずは金額の一番大きい城投公司の負債65兆元だが、これはインフラ整備の目的が主なので、日本で言う建設国債に相当する。なので不良債権処理は必要無く、必要であれば永遠に負債の借換(永久債)を続ければ良いだけだ。嫌中派の方々には申し訳ないが、もう少し事実を理解してから破綻だ何だと言ってもらいたい。ちなみに日本では、建設国債のようにインフラ投資として資産が残っている割合は3割程度しかない。恐ろしいことに7割は使って消えてしまっているのだ。

次に房奴と不動産企業については、例えば40%を不良債権として処理するとした場合、国債の追加発行は18兆元となる。確かに巨額ではあるが、金融資産も負債も帳簿の中にだけある「幻の資産と負債」であり、何とでもなる。それにより政府の負債は、129兆元となるが、GDP125兆元(2023予測)との比率でも約100%程度なので、まだまだ全く問題ない。それよりも「将来への期待を萎ませない」ことの方が何万倍も大切だ。

イギリスやオランダ、フランスなど歴史的に見ても「国債を返済した」国は無い。返済したのでは無く、経済成長することで「対GDP比が下がった」だけだ。中国にはまだまだ成長の余地がある。「将来への期待を萎ませない」ことが出来たら一時的に国債が増えても問題無い。成長が全てを解決する。