中国には日本では考えられない悪習がある。それは家が無いと結婚できないというものだ。日本人的には普通に賃貸でも良いではないかと思うが、女性の親が家を持たない男性には基本的に結婚をさせてくれない。だから結婚するために、今の若者は相当な無理をして家を買っている。
だが普通の家庭ではまともな家を買うことは出来ないので、老破小(ラオポーシャオ:古くて汚くて小さい)と言われる1980年代から1990年代に建てられた40〜60㎡程度の家を買うか、郊外の通勤時間2時間近くの新開発地に家を買うかの大きく2択となる。それでも最低300万元(6000万円)以上はするので両方の親が100万元程度を親が頭金として出し、残りを自分でローンを組み購入することになる。
そういうローンを背負った若者を「房奴(ファンヌウ:家の奴隷)」と呼び、今の若者の苦境を表している。また中国では子供の養育費が非常に高く、子供を持った親を「孩奴 (ハイヌウ:子供の奴隷)」と呼びこれが問題化した。それが子供の課外教育を禁止する「双减(シュアンジエン)」という政策に繋がった。しかしこれは決して良い方法とは思えない。しかもこの政策のために多くの塾が倒産することになった。
そして社会が「房奴」や「孩奴」の状況になると、当然の結果として結婚しない若者が増え、出生率も激減している。この問題は日本同様に少子高齢化の問題をより深刻化させている。