下僕の友人で1978年に生まれたY氏は、2009年31歳の時に上海の中心から直線距離約12kmの場所(通勤時間約1時間)に約80㎡のマンションを約80万元(1600万円:1万元/㎡)で購入した。14年経った現在の価格は約640万元(1億2800万円:8万元/㎡)程度になっているという。何もしていないのに1億1200万円の利益だ。1990年以降に生まれた若者が「房奴」と呼ばれているのとは雲泥の差だ。僅か一回り(12年)ほどの生まれる時代の差でこれほどの差が生まれている。これは「時代紅利(時代の利益)」の一言で片付けて良い問題では無い。危機的な世代間の分断を招くことになる。

国内での格差を示す「ジニ係数」という指数がある。数値が1に近ければ不平等社会、0に近ければ平等社会となる。日本は0.33で、アメリカは0.40であり、一般的なイメージ通りアメリカの方が不平等な社会ということだ。

ジニ係数は0.40を超えると社会不安から暴動の恐れがあるとされている。中国のジニ係数は0.47と暴動ラインを大きく超えており、ブラジルとコスタリカの0.48に次ぐ高さで、貧富の格差が大きいことが数字からも分かる。

実際に「時代紅利(時代の利益)」に恵まれた世代の中にはトンデモない金持ちがいるが、それは確実に次の世代へのツケとなっている。ちなみに友人Y氏の父親は、2000年に上海の空港近くに1800元/㎡の家を買って、それが今は7万元/㎡と39倍!になってるそうだ…まったく意味不明な「時代紅利」だ。しかし更に上には上がいる。それは国有企業から家を貰った世代で、その後都市開発に伴う立退料で莫大な金額を手にした人々だ。

そして、それらの「爆発戸(バオファーフゥ:超成金)」と呼ばれる人々の多くが海外に資産を移したり、家族で海外に移住したりしており、人々の不満を増幅させている。