中国にとって「不動産バブル崩壊」は、予定された未来ではあったが、その影響はとてつもなく大きい。国民の資産の7割が不動産と言われる中国では、日本の平成バブル(主に大都市の企業と金融機関)とは比較にならない広がりを持っている。
何度も述べているが「景気は“気”から」だ。経済にとって大切なことは「未来への希望を萎ませないこと」であり、経済を動かすのは「昂揚と楽天主義」だ。
その為には先ず「金融資産と金融負債」の本質(=足すと必ずゼロ)を理解し、「帳簿の中にだけ存在するバブル」を処理する必要がある。
中国は98房改以降の「バブルの昂揚」の中で巨大な投資を行い、巨大な実物資産(=国富)を蓄積することができた。そして今では世界一の国富(120兆ドル)を持っている。これが「本当の宝」なのだ。金融資産・負債は単なる帳簿の中の「デジタル数字」に過ぎない。
日本も1990年にバブルが崩壊したが、周りの風景は何も変わらなかった。道路や鉄道などのインフラ、生産設備や工場、オフィスや住宅などの建物、百貨店やショッピングモールやディズニーランド……これらの実物は何も変わらず、ずっと元の場所に存在した。
そして当然、人間も変わらず存在したのだ。何も変わらなかった。変わったのは唯一「人間の心」のみだった。
経済を動かすのは人間の心だ。その心を解放する為に、まずは帳簿(貸借対照表:バランシート)のバブルを処理する必要がある。デジタル数字の調整など、あっという間にできる。
帳簿の調整が終わったら、再び未来への希望を持って、昂揚と楽天主義で、前のみを向いて登っていける。
