地方政府の財政難を解決する目的で、1998年「98房改」でついに不動産部門にも市場経済を導入することに踏み切った。その効果は非常に明らかで中国の急成長の大黒柱となった。日本などの資本主義の国々においては、ほとんどの土地は民間が所有している。しかし中国においては全ての土地を国家が所有している。だから資本主義の国々の政府と比較すると、中国の政府は「打ち出の小槌」を持っているような非常に恵まれた状況だった。その所有する土地を売却(※土地の期限付き使用権を売却する。住宅用途70年、商業用途40年など。)することで、財政収入を得ることが出来、思い切った財政出動が可能となる。
この土地売却収入は2020年には地方政府の財政収入の43.6%と約半分を占めるに至っている。これがバブルの元凶ともなっているが、成長の起爆剤ともなっており、功罪交々といった感じだ。
そして中国は、この収入でインフラなどの固定資産に巨額の投資をすることで国を発展させてきた。2021年のGDPに占める総固定資本形成の割合は43%にも達している。日本25%、アメリカ21%と比較すると格段に高く、中国が国内の固定資産投資で成長していることが明確に分かる。
よく中国は輸出で儲けているなどと言われるが、それは全くのニセ経済学だ。中国の貿易黒字が6714億ドルと最高になった2021年でもGDP(17兆7593億ドル)に占める割合は僅かに3.8%しかない。中国は輸出立国でもなんでも無く、国内の市場が投資や消費で大きくなることで成長してきた。この点は日本と全く同様だ。