日本人に中国の印象を聞くと一番最初に出てくるのは「一党独裁」だと思う。そこからイメージされるのは、情報を統制されて監視社会の中で汲々と暮らす人民。その他には、教育レベルが低く、どこでも大声で話すマナー最低国。世界の工場、貿易で日本の競争相手…などなどでは無いだろうか?
だが実際に暮らしている私からすると、どれも大きな間違いだ。確かに中国政府を批判するような情報にはアクセスが難しい。しかし当然幾つもの抜け穴もあり情報を完全に統制することなど不可能だ。更に至る所に監視カメラがあるが、そのおかげで圧倒的に犯罪が減った。一昔前は街中にスリなどもよくいたが、今では全くいない。荷物を置いて場所を離れても何の心配も無い。情報が携帯に集約されているので、財布を持つ必要も無く、どこでも必要な時に車を呼べて、銀行のATMへ行くことなど全く無い。個人情報どうのこうのでマイナンバーカードが全く普及しない日本とは雲泥の差だ。そもそも取られて困るような情報が個人にどれほどあるのか私には理解できない。スパイ映画の見過ぎでは?
教育レベルについては2022年の大学卒業生の数が1076万人に達した。これは同年に生まれた子供の数965万人よりも多い。皆が高学歴すぎて、ブルーカラーの成り手が不足する一方で、高学歴に見合う仕事数が足りずに就職難という、非常に大きなミスマッチが発生している。
尚、声が大きいのは発音の特性によるもので、これはどうしようも無い。彼等からすると日本人は言葉がこもって聞き取りにくく、自信が感じられないと思っている。
世界の工場であることは確かだが、貿易で日本の競争相手はというのは全くの的外れだ。貿易は競争では無い。
2つの国を同時に見ている私からすると、なぜこんなに偏った情報がステレオタイプ的に広がるのか戸惑いを禁じ得ない。