どれだけやっても効果が出ていない時は「課題の設定」を疑うべきだ。今回も「二酸化炭素を減らす」では無く、「ヒートアイランドを止める」が課題であるとしたら、取るべき対策は全く違ってくる。
地球の歴史を理解すれば、二酸化炭素は「極悪人」ではなく、「万物の母」であることが分かる。人口や建築物の極度の偏在を考えれば、ヒートアイラン現象が都市気候に大きな影響を与えていることは間違いない。二酸化炭素を減らすなど無駄な対策にお金を使わずに、足元の環境を改善することにお金を使うべきだ。我々に出来ることは、まだまだ沢山ある。
ハンス・ロスリングが「ファクトフルネス」の中で、人間には「焦り本能」があると言っていた。「いつやるか?今でしょう!明日では遅すぎる!」という本能だ。しかし医師をしていたハンスは「焦り本能」のために医療活動で失敗した経験から、「焦り本能」を抑えるべきだと強く信じていた。だから「データを誇張して恐れや焦りを利用して、人々を扇動すること」は絶対にやってはいけないと。
彼は元アメリカ副大統領のアル・ゴアと親交があった。ゴアといえば環境問題を取り上げた「不都合な真実」で有名で、環境問題の功績でノーベル平和賞を受賞している。ハンスはゴアと環境問題の話をした時に、ゴアから開口一番「みんなが震え上がるようなことをやらないと」と言われ、「ハンスの得意なバブルチャートで二酸化炭素が増えると、どれほど悲惨な世界が来るかを説明してくれ」と頼まれたそうだ。しかしハンスは友人でもあるゴアの頼みを断った。データ誇張し恐れや焦りを利用することは、ハンスの最も忌み嫌うところだったからだ。
IPCCやマスコミ、政治家は人間の「焦り本能」を利用するのが大好きだ。特に地球規模の環境問題ともなると「莫大な金」も動く。彼等の行動を観察すると、そこには「不都合な真実」がある。