16世紀から18世紀にかけてのヨーロッパは、君主が絶対的な権力を持った「絶対主義時代」であった。その絶対主義時代に支配的であった考え方に「重商主義」がある。「一国の富は、貨幣としての金や銀である。」との考え方で、「一国の富を増やすためには、輸出拡大と輸入制限が必要だ。」と考えた。そして絶対主義の中で、関税や規制をかける「保護貿易主義」が主流となった。
一方で、「経済学の父」と呼ばれるアダム・スミス(1723~1790)は、「富とは、国民労働によって生み出された生産物であり、貨幣では無い。」と喝破した。そして重商主義的な考え方を、的外れだと非難したのだ。重商主義に基づく国家の統制経済は、国民を豊かにしないとし、自由主義経済の重要性を説いたのだ。
何かデジャブ的な既視感を感じないだろうか? もうあれから300年近くが経過しているのに、また同じ議論がアメリカから起こっている。貿易赤字は「損」で、それを解消するために関税戦争を世界にしかけ、世界の成長を阻害する愚行が目の前で始まっている。
流行やトレンドなどの物事が、何度も繰り返し起こるのは理解できる。しかし誤りだと証明された経済行為が繰り返されるのは理解できない。しかも超大国の大統領によって。何の為に教育があるのやら。
