民主主義とは所詮「多数決」だ。そして多数決は往々にしてポピュリズムを生み、判断の合理性を誤らせる。トランプにせよハリスにせよ、どちらも50歩100歩だ。アメリカは共和党であろうが民主党であろうが、選挙が近づくと必ず外に対する強行姿勢と、内に対するポピュリズムに走る。選挙期間中のアメリカは大国であるのにブレ過ぎる。それは世界を不安定にする。

民主主義が絶対に正しい価値観だと何故言い切れるのだろうか?

フランスの政治思想家トクヴィル(1805~1859)はデモクラシー(民主主義)には「多数派の専制」の危険があると、その根本的な問題点を指摘した。我々は「多数の意見は本当に合理的なのか? 少数派の意見は黙殺されていないか? 民主主主義(=多数決)を通して社会として達成したい課題とは何なのか?」をもう一度考える必要がある。

日本が第2次世界大戦に突入する時期には、和平を目指す政党政治家に対し、マスコミが弱腰として国民を焚き付け多数を形成し、軍部がその流れに乗り五一五事件で犬養毅首相を殺害し、実権を握った。トクヴィルの予言通り、多数の意見は往々にして大きな過ちを生み出す。