アメリカはグローバリゼーションからブロック化に舵を切った。少なくとも政治的には。そしてそれが衰退を加速する。アメリカ国内は十分に発展しているので多くの投資機会は無い。だから世界の銀行となって安くで調達して、新興国投資で高いリターン(経常収支は大幅赤字なのに1次所得収支は黒字!)を得ていた。

アメリカの1990年代以降の発展とグローバリゼーションは切っても切り離せない。国民は自給自足では到底達成できない消費を満喫していた。しかしその中で大きな痛みを受ける一部の集団があり、そこに政治家が擦り寄る。予想通りに不合理だ。

スミスが言うように「分業と交易」で世界は豊かになってきた。歴史的教訓として、分断やブロック化が発生した時に悲劇が起こったことを忘れてはならない。しかしアメリカはブロック化に舵を切ってしまった。そこに日本を巻き込んで。

大きなパワーバランスの変化の中で、日本はアメリカの矛と盾であり続けてはいけない。それは世界の経済成長の果実を取り損ねることでもあり、国益を損ねる。ただウクライナのように寝返って反対側につくことは予想以上の反発を招くので得策では無い。

日本は第三の道を行くべきだ。それはインドのネルー首相が提唱した非同盟主義ではなく、スイスやオーストリアのような「永世中立国」だ。

永世中立国は、単なる主義主張ではなく、国際法上の地位を持ち、他国間の戦争に参加しない義務を持つ。その代わりに、国際社会から独立と領土保全が保障される。私は太平洋にそのような島国があれば世界はずっと幸せになれるし、それが日本を特別な国にすると考える。