土の話をする前に、地球の気候の基礎知識を理解する必要がある。

地球には「大気循環」と呼ばれる「緯度ごとに分かれた空気の循環」がある。これは膨大な太陽エネルギーにより赤道付近で上昇気流(=低気圧)が生じることに起因している。この上昇気流は北緯30度くらいの位置で冷えて地上に落ちてくるため、その付近に下降気流(=高気圧)が発生する。そして北緯60度くらいで再び上昇気流(=低気圧)に変わり、更に北極の位置で下降気流(=高気圧)に変わるという、連動した循環が発生している。そして南半球でも同じことが起こっている。

この「大気循環」により、地球は緯度30度ごとに「赤道低圧帯/中緯度高圧帯/高緯度低圧帯/極高圧帯」の縞模様になっている。

なぜこれが「土」の話をするときに大切かというと、雨量に関わってくるからだ。低気圧帯は雨が多く湿潤で、高気圧帯は雨が少なく乾燥している。衛生写真で地球を見てみると、低気圧帯には緑が多く、高気圧帯には砂漠や草原が多いことが良くわかると思う。

そしてこの雨量が「土」の性質と、そこでの農業の在り方を決定してきた。植物の生育には「水と栄養」が欠かせないが、低気圧帯では雨が多い代わりに、「土」の栄養(カルシウム/カリウム/リンなど)が乏しくなる。これは雨で栄養が川/海/地下水へと流されるからだ。逆に乾燥地帯では雨が少ない代わりに、「土」の栄養が豊富になる。

水と栄養分の両立は成立しない「トレードオフ」の関係にある。そして両地域での農業の在り方にも相違が生ることとなった。