大きく分けると「土」は12種類に分別することができるらしい。
日本には火山に由来した「黒ボク土」という世界的に珍しい「土」が分布している。日本人からすると土は黒いものだと思っているが、実は世界的にみると僅か0.8%しかない貴重種だ。しかも日本は本来、中緯度高圧帯に位置するので乾燥地帯になるはずだった。しかし周囲を海に囲まれた環境と、中央に山脈があることから多雨地域になっている非常に珍しいエリアで、例外中の例外だと言っていい。
さて特殊な日本は置いておいて、世界を俯瞰してみると、12種類の「土」の中でも最も栄養が豊かなのが「チェルノーゼム」と呼ばれる土だ。そしてチェルノーゼムが一番多いのが、現在ロシアから侵攻を受けているウクライナで、第2次世界大戦時にはナチスドイツもこの地を目指して侵攻している。土地が豊かであるために何度も狙われることになったのだ。
第2次大戦時には日本は中国の東北部に侵攻し、満州国を成立させたが、実はこの地にもチェルノーゼムが分布しており非常に豊かな大地だ。それが日本軍の侵攻につながった。
侵攻する側にも当然理由があり、豊かな土地を獲得したいのは当然だ。その意味で「土」は農業や経済だけでなく、政治や戦争も動かしてきたし、これからも動かし続けるのだろう。