ロバート・シラーの指摘通り、ストック(=金融資産・負債)とフロー(=GDP)は全くの別物だ。しかしこの概念はなかなか理解し難い。世の中ではどうしても「お金を蓄えること(=ストック)」ばかりに目が向いてしまう。

もし「人口100人の島」の住人が、全て家族のように仲が良かったら、そもそも「お金」は必要ない。家族であれば、お金があろうが無かろうが、島の供給力は100人を養うことが可能なので、問題は起こらない。

ユヴァル・ノア・ハラリ氏は著書「サピエンス全史」で、ホモ・サピエンス(=人間)がネアンデルタール人などとの競争に勝って繁栄したのは、「虚構(フィクション)を信じることが出来たからだ」と述べている。そして「お金」は宗教と並んで「虚構」の最たるモノだ。

現在のアメリカは、その虚構を利用し、世界中から投資を集め、自国の供給力以上の消費を満喫している。そしてウォール街は常に「次の虚構」を探し求めている。GAFAMに代表されるIT革命、NVIDIAに代表されるAI人工知能、そして次は量子コンピュータや核融合、人口光合成…

バブルが次から次への乗り替わって行き、どんどん膨れており、確かに問題は大きい。しかし人類は虚構の中でしか生きられず、虚構の中でのみ進化するのも事実だ。

だとしたら、これからも熱狂(=バブル)とパニック(=バブル崩壊)は、繰り返されていく。これが第一原理思考で人間を分析した結論だと思う。