東京都中野区の「中野サンプラザ」の再開発が中止になった。近年、再開発の中止や延期の報道を頻繁に目にする。日本経済新聞の調査では、8割弱で完了時期の延期や費用の増加が起きており、見直した計画の平均で期間は2.7年延び、費用は2割膨らんでいる。一体何が起こっているのだろうか?

建設費高騰の影響で迷走を続け、事実上の白紙となった中野サンプラザ跡地の再開発。中野区は、野村不動産を代表とする施行予定者グループが変更案として示した「ツインタワー案」に関する協議を中止し、基本協定を解除する方針を示した。

中野サンプラザの再開発では、建設費の高騰を背景に事業費の膨張が課題になっていた。中野区が2021年5月に「1棟プラン」で、施行予定者と基本協定書を締結した当初の事業費は1810億円だった。

ところが建築費の高騰が問題になり、野村不動産ら施行予定者は、事業計画の採算性を見直すため、各用途の床面積を変更する案を示した。オフィスを全体の4割から2割に減らし、住宅を4割から6割に増やした。さらに、建設費の削減と施工性の向上を図るため、当初計画していた高層棟を1棟から2棟にした上で、高さを抑えるツインタワー案を提案した。

しかし、それでも建築費高騰をカバーすることができず、24年1月には約2639億円となり、更に9月には設計・施工を担う清水建設の見積もりでさらに900億円分の上昇が判明。3550億円を超える規模に膨れ上がった。

当初見込みより1740億円も増加しており、これは当初の約2倍!もの金額だ。とても実行できる金額ではない。

変更計画では住宅を増やしたことで事業収入予測は増加したが、それだけ変更しても約900億円の事業収支差額が埋められないと判断された。それでこの度、中止が決定したようだ。