建築費は大きく資材費と労務費の2大要素から構成される。日本建設業連合会によると、2010年以降は東日本大震災の復興需要や東京オリンピック需要により、建築費が上昇した時期はあったが、極端な高騰は見られず非常に安定していた。しかし、2021年以降に建築費がこれまでにない急騰を見せ、再開発中止などを引き起こしている。
その内訳を見てみると、報道でよく労働力不足が懸念されているが、労務費の方は比較的安定している。一方で大きく上昇しているのは資材費の方で、かなり急騰しており、これが建築費の高騰を引き起こした。この原因は一体何なのだろうか?
原因は新型コロナでストップしていた、アメリカと中国という2つの巨大マーケットの経済活動再開だ。コロナで物流が混乱し、ウクライナ戦争でエネルギーコストが上がっている時に、2大マーケットの経済活動が再開したので、受給バランスが大いに崩れたのだ。
建築業界では「ウッドショック」と「アイアンショック」と言われている。ウッドショックは木材価格の急騰だが、これはアメリカにおいて、2021年にコロナ後の低金利政策の影響で、住宅建築の需要が爆増し、日本に木材が入ってこなくなった。そのため日本国内の木材価格が急騰した。そしてアイアンショックは、コロナ後にアメリカに加えて中国が経済活動を再開したために、鉄鉱石の需要が急激に高まり、価格が急騰した。その結果、鉄骨等の価格が急騰したのだ。そして更に円安が追い打ちをかけた。
モノの価格は需給バランスで決まる。そして世界は繋がっており、巨大マーケットの動向は多くの国に影響を及ぼす。日本一国ではどうにもならない。
