日本の2022年の国際収支表においては、貿易サービス収支は△23兆1771億円と大きくマイナスになっている。マスコミはこれだけを切り取り「大変だ!」「デジタル敗戦だ!」と騒いでいる。

しかし、これはお金が海外に流出しているのではなく、海外の人がせっせと日本に投資(株、証券、預金、土地、建物など)をして、貿易赤字分を負担してくれているのだ。海外の人のおかげで、日本人は国内の総供給量以上の消費をしているのだ。マスコミの言う「お金の流出!」など1円もない。

貿易赤字のは海外の人が投資をしてくれて「お金の流出」が無いことは分かった。では日本が貿易黒字の場合はどうなるのだろう?

貿易黒字の場合には、黒字分を海外に投資し、海外の資産(株、債権、預金、土地、建物など)が増えたことを意味している。「貿易黒字はどこに行ったのか?」の答えは「海外に所有する資産になった」ということだ。そして2023年時点で日本の対外純資産額は、世界で一番多い471兆3,061億円(対前年末比+51兆3,062億円、+12.2%)に達している。

ただし大切なことは、中外製薬や日産自動車のように外国人が株式の60%以上を持っていようが、我々の生活には何の影響もないことだ。

莫大な対外純債務を抱えるアメリカでも「○○社は実質的にタイ企業、日本企業、中国企業」となっているだけで、アメリカ市民の生活には何の影響もない。海外企業がせっせと投資をしてくれて、生活を豊か(=GDP成長)にしてくれているのだ。