その後アメリカには、1973年のオイルショックが追い打ちをかけ、スタグフレーション(不況下のインフレ)が発生する。その高インフレの中でも、当時のアメリカの銀行には様々な規制があり預金金利が上げられなかったため、銀行から預金が流出し証券会社や投資信託へと資金が流れた。銀行に資金が集まらなければ「信用創造」が出来ず経済活動全体が縮小する。それを防ぐため様々な規制が撤廃(1980年代~1990年代)され、金融が自由化される。そして魅力のある商品を提供できる金融機関に資金が流れる「金融資本主義」の時代を迎える。
この時期以降に先物、スワップ、オプション、金融派生商品、ヘッジファンドなど現在では聞き慣れたものが登場することとなった。そして、その新たに開発された商品の1つがサブプライム・ローンで、後にリーマンショックを引き起こすこととなる。
「ドル・ショック」というパンドラの箱が開き、金(きん)という楔を解き放たれ、更に金融自由化の門戸が開かれた結果、金融資産は劇的に増加した。日本において1970年代までは国富(実物資産)と1対1の関係にあった金融資産が、2022年時点で国富の約2.5倍まで増えることとなった。
金融資産は確かに爆発的な伸びをみせ世界を席巻している。しかし同時に同額だけ金融負債も増えていることを忘れてはならない。金融資産と金融負債を足すと必ず「ゼロ」だということを。