改めて言うまでもないが、日本は地震大国だ。日本の地下には4つもの大陸プレートが交錯している。太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、それとユーラシアプレートだ。
世界的にもこんな複雑な場所は非常に珍しく、世界でも有数の地震多発地帯となっている。気象庁のデータで2014年から2023年に発生した地震の分布図があるが、見事にプレート境界の位置と地震発生の位置が一致している。
日本はとにかく災害が多い国だ、地震、台風、水害そして火事。昔から「地震・雷・火事・親父」と言われている。これは怖いものを順に並べた俗語だが、やはり地震が一番怖いものとされている。
日本において建物の構造を考える時に、地震の要素が非常に重要となったため、日本ではほとんどが「木造建築」となっている。当然、山林が近くにあったことや、湿度の高い気候であることも関係しているが、圧倒的に地震の要因が大きい。
木造の特徴は、そのしなやかさにより「地震の揺れを逃しやすい」ことだ。また、揺れの大きさは建物の重量に比例するので、木造は石やレンガに比べて軽量なため、揺れ自体が小さくすむ。そして倒壊したとしても軽量なため人的被害も少なく済む。
一方でヨーロッパでは「三匹の子豚」でもよく知られているように、圧倒的に石やレンガ造りの建物だ。ヨーロッパは日本と比較すると地震が非常に少ない。そういう地域では当然に、経年劣化の少ない石やレンガ造りが採用される。ヨーロッパでは何百年も前の建物が当たり前で、建物が古いほど、逆に価値が高いことが多い。
地震の有無が両地域の建物の構造を、全く違うものに変えたのだ。

