中心市街地の衰退と郊外化を考える上で、都市の居住状況を比較してみたい。

花の都「パリ」の市街地は、ティエールの城壁跡に造られた環状高速道路の内側で面積は86.99k㎡ある。これは、東京の山手線6区(千代田/港/文京/渋谷/新宿/豊島)の89.65k㎡と、ちょうど同じ規模だ。ちなみにニューヨーク市・マンハッタンは59.47k㎡で、パリの68%程度の面積となっている。

ご存知のようにパリには東京やニューヨークのような超高層ビルは無い。Googleで見ても建物の高さ、所謂「スカイライン(建物と空のライン)」が揃っている。厳しい高さ制限(25M)があり、7階程度しか建てられない。日本なら麻布台ヒルズなどは64階で高さ325mもある。ニューヨークのワールドトレイドセンターは104階で高さ541mだ。高度利用という意味では雲泥の差がある。

だから、やはり東京やニューヨークの方が「大都会」で、人口密度が高いように思われる。しかし人口密度は、東京23区が15,735人/k㎡、山手線6区16,696人/k㎡、ニューヨーク市11,314人/k㎡、マンハッタン28,489人/k㎡となっている。一方のパリは、なんと24,696人/k㎡もある。さすがにマンハッタンには負けるが、それでも凄い人口密度だ。

あんな最高容積率350%の7階建て程度の街並みで、これだけの人口を居住させることが可能なのだ。ちなみに東京の最高容積率は2000%!もある。統一された街並みを維持しながら、街の活力に必要な「十分な人口密度」を確保できる。都市計画としては非常に優れており、学ぶべきところが多い。