京都大学経済研究所の森知也氏は「経済集積理論が予測する人口減少下の日本の都市と地域の未来」という研究をしており、これが非常に興味深い。

研究では、①人口集積としての「都市」を単位として地域を捉え、②人口減少と輸送・通信費用の減少に注目し、③事実の再現性が高い、経済集積理論(べき乗則を伴う相似構造)に基づいて予測を行ったとしている…まぁこの説明ではよく分からない。

詳しくは研究室の資料を見てもらいたいが、私なりの理解では1970年から2020年の50年間の都市の変遷と、人口問題研究所の将来人口予測を前提(≒アルゴリズム)とし、今後100年〜150年で、都市がどのように変化するかを、コンピューターで推測する試みだ。

まず第一の前提であるこの50年間の都市の変遷は、大きく二階構造からなる。一階部分は「日本の国家レベルで起こって来たこと」だ。結論は、①大都市は近隣都市より人口を吸い上げより大きくなり、②大都市と大都市の間にある中小都市は、衰退もしくは消滅してきた。そして二階部分は「都市レベルで起こって来たこと」で、結論は、①人口の周辺への分散化(=都市の拡大)が起こり、②人口密度の平坦化(=減少)が起こっている。

第二の前提である将来人口に関しては、100年後にベースシナリオで5千万人の明治時代水準、悲観シナリオで3千万人の江戸時代の水準になることを前提とて、都市の変化予測を行っている。

そして導かれた最終的な結論としては、現在ある431の都市が、ベースシナリオで269都市、悲観シナリオで224都市になる。要は1/3~半分の都市が消滅するということだ。その先待っているのは日本消滅という未来だ。