第2次世界大戦後、GHQのマッカーサーが日本の経済官僚にGDPデータを何度も要求したが出てこなかった。そこでマッカーサーは吉田首相に「なぜこんなに経済データが無いんだ?」と尋ねると、吉田首相は「日本には元々経済データはありません。あったら戦争などしていないし、戦争をやっても勝っていたでしょう」と答え、マッカーサーはそれで納得したらしい。

国内総生産 GDP(Gross Domestic Product)は国の状況を把握する最も基礎で、最も重要な指標だ。それを把握しなければ国を誤ることになる。

GDPとは「その年に新しく作り出される付加価値の合計」だと言われるので、何となくイメージはつくが、もう少し実感として理解したい。

企業の損益計算書などを勉強したことがある人にとっては、売上から原価を引いた「粗利(売上総利益)」と言う方が分かりやすと思う。GDPとは全ての企業の「粗利の合計」だ。

ただ「粗利」は「利益(当期純利益)」ではない。そこから幾つもの支出がある。従業員の人件費、銀行への金利、資産の減価償却費、それに税金。これらを支払って、残ったのが企業の当期純利益(=株主の利益)となる。これは見方を変えると、「粗利」が、従業員、銀行、資産所有者、政府、株主に「分配」されたことを意味する。

そして「粗利」が発生するのは、誰かが「支出」しているからだ。その「支出」してくれるのは、民間(家計・企業)の消費と投資、政府の消費と投資、海外の輸出と輸入の差額(=純輸出)となる。

GDPは粗利であり、これを生産面という。そして生産面と分配面(GDI:Gross Domestic Income)、そして支出面(GDE:Gross Domestic Expenditure)は必ず等しくなる。これを「3面等価の原則」と呼ぶ。

生産面 GDP = 分配面 GDI = 支出面 GDE

これは経済学を理解する上の、最も基礎である大切な教えだ。