国債とは何かを尋ねると、必ず「国の借金」という答えが返ってくる。だから増え過ぎると大変だと。
しかし金融資産と金融負債のことを理解すると、国債は「政府の借金」であり、同時に「国民の財産」でもあることが理解できる。だから「国債の発行は孫の世代に借金を背負わせる」というのは「貸付の元金と利息を貰うのも孫の世代」ということだ。財務省の言う「GDP比の政府債務残高水準が最悪になっている」というのは、資産側から見ると「国民の財産残高が最高の水準になっている」ということだ。
少し別の言い方をすると、一般的に我々の貯蓄は銀行を通して企業に貸付けされる。そして、その一部が政府という日本で一番大きく、絶対倒産しない企業に国債という形で貸付けされているということだ。特に日本の国債は内国債(自国通貨建てで発行される国債)なので、原理的に絶対デフォルトしない。
そして「国債は国民の財産」ということを理解すると、国債の別の面が見えてくる。それは国債は金融市場でメインの商品で、金融機関に巨額の利益をもたらしている事実だ。なお国債の市場規模は株式市場より巨大で、しかも非常に安全な市場だ。
そして巨大な国債市場で金融機関が得た利益は、同時に金融機関に貯蓄をしている我々にも利益をもたらしている。それを理解できると「国債は国民の財産」ということが納得できると思う。