「国債は負担を将来に転嫁するは、1000回繰り返して言うが間違いだ。」とサミュエルソンは言った。最初にこれを聞いた時には「本当にそうか?」と非常に疑問に思った。しかし彼は「国債を発行して資金を調達しても、戦争に使えるのは現時点の弾丸で、将来の弾丸を現在の敵に投げつけることは出来ない。」と説明している。

確かに、国内労働市場が完全雇用状態のマーケットで、弾丸を作るために国債(内国債)を発行し資金を調達しても、弾丸を作ることは出来ない。ここから分かることは「資金があっても、それ自体は付加価値を生み出さない。」と言うことだ。資金は弾丸を作れない。作れるのは人間の労働だけだ。

GDPは①労働投入量(どれだけ働いたか)、②資本ストック(投資した蓄積。インフラ/オフィス/パソコン/生産機械など)、③生産性(1人あたりの効率)で計算される。これからも「今まで投資してきたモノを使って、どれだけの時間を、どれだけの効率で働いたか。」と言うことなので、結局は人の手と頭による「労働」がGDPだ。決して「お金(金融資産=金融負債)」それ自身で付加価値を作り出しているのでは無い。銀行が金利を取れるのは、その先にある企業の労働者が付加価値を生み出しているからだ。