経済学会にリフレ派という一派がある。これは2012年に始まる第2次安倍内閣のアベノミクスを支えた「リフレーション理論」に基づいている。

そして日銀の黒田総裁は「2年後にマネタリーベース2倍、インフレ率2%」と量を確定し、インフレ目標を宣言することで、金融量を増やし予想(期待)に働きかける方法を採った。

流動性の罠(貨幣愛)の状況では、金利を下げても投資が行われないので、政府日銀主導で「将来はインフレになる」という予測を宣言するという手法で、今までの金融政策と違うので「非伝統的手法」とも呼ばれる。

まぁ簡単に言うと「日銀がお金をジャブジャブに刷るからインフレになるよ〜と宣伝し、その宣伝を信用した企業が投資を行い、従業員の給与を上げれば、流動性の罠(貨幣愛)から抜け出せて、再び成長出来る。」と言うシナリオだ。

実際に「黒田バズーカ」と言われるように、量的緩和でマネーが大量(300兆円台)に供給された。その結果、2013年には日経平均株価が9000円台から15000円台へと60%も上昇し、円も86円から105円へと18%も下がり、極端な円高(購買力平価から判断)が解消され、円安効果を享受する大手企業の業績が爆増した。

しかしここで予想していなかったことが起こる。それは2013年にあれほど儲けた大企業が、2014年に投資を増やさず、従業員の給与も上げなかったことだ。これでは「貨幣愛」から抜け出せない。しかも大企業でストップがかかると、中小企業に好景気が波及しない。ここで「おまじない」のお札が剥がれ落ちた。