日本の問題としては避けては通れないのが、少子高齢化を原因とする「人口減少」だ。日本の「合計特殊出生率」は2022年に1.26まで低下した。よく人口を維持するには2.07以上が必要と言われる数字だ。このままでは100年後には日本の人口は江戸時代と同じ3000万人台まで減少するととも言われている。
2003年に少子化社会対策基本法が制定され、まる20年がが経過したが、いっこうに成果は上がっていない。しかし岸田内閣では「異次元の少子化対策」実施の財源確保ために、2026年から更なる増税(子供・子育て支援金)を決定した。
毎年の児童・家族関係給付金(現物と現金を合わせた支給額合計)は、2002年当時の3.1兆円から2021年の13.3兆円まで、約10兆円も増えた。しかし、合計特殊出生率は回復することなく、2002年の1.32から2022年の1.26へと低下した。
この結果を見て「日本が消滅するぞ!」とか「いやいや人口減少で住み良い国になるぞ!」とか、極端なものだと「江戸時代の自給自足に回帰しろ!」などという意見まであるから面白い。
確かに問題ではある。しかしそこで考える必要があるのは、「ここまでやって成果が出ないのは、課題の設定が間違っているのではないか?」ということだ。
安宅和人氏が著書「ISSUE DRIVEN」で教えてくれたように、問題解決の肝は「課題の設定」だ。「人口減少」という現象の課題は何なのか?
この課題設定を間違うと、全く無駄な対策を実行することになる。我々はもう一度冷静に「何が課題か?」を考える必要がある。