税制や社会保障制度、それに伴う「壁」の問題など、複雑怪奇なことを説明したいわけではない。まぁ説明もできないが…

この複雑な仕組みは、時代時代の要望に応える形で「パッチワーク」のように積み上げられていった。その結果、国民の誰もが理解不能な制度になってしまった。既に制度自体が機能不全になっているのだから、ゼロベースで組立て直す必要がある。

そして現在はIT技術の発展により、マイナンバーを利用して、ゼロベースの再構築が出来る環境にある。これは最近流行りの「DX(デジタルトランスフォーメーション)」のことで、デジタル技術でビジネスモデルや働き方を変えることになる。

中国ではどんな高齢者でもスマホを使って様々な手続きを行なっている。乞食ですらスマホを使ってお金を貰っている。乞食としても、一般の人は現金を持っていないので、スマホが無ければお金も貰えないのだ。そして中国政府はデジタル人民元を始動させ、更に一段上のレベルに上がった。

日本は本当に遅れている。DXを進めるため、マイナンバーと保険証を統合しようとすると「政府は信用できない! 高齢者を切り捨てるのか!」とか、見当違いの意見が出てくる。切り捨てないためには行政機構の効率(=生産性)を上げるしかないのだ。

今回の課題は「簡素」だ。簡素にすれば、多くの煩雑な手続きから人々を解放することができる。行政では今だに紙と印鑑の手書きの書類で溢れている。「簡素」にしなければ、この国を維持することはできない。