税金というと、所得税/法人税/消費税などと考えるが、一番大きな税金は社会保障費のための「社会保険料」だ。日本では厚生年金(=社会保険料の一種)など給与天引きだし、半分は会社が負担しているので、これが税金だという意識が低いし、一体いくら払っているのかを知らない人が大多数だ。しかし、IMFなどの国際機関では「社会保険料と保障費」は政府の収支に計上されており、立派な「税金」と考えられている。
103万円の壁のような所得税の件や消費税などがニュースなどで話題になるが、実はそれ等の負担は大きくない。所得税 17.8兆円/法人税 17兆円/消費税 23.8兆円の合計58.6兆円だ。しかし隠れた税金である「社会保険料」は単独で80.3兆円!もある。税金の中でも突出して大きな存在だ。
しかし、これで驚いてはいけない。実は主要3税の所得税/法人税/消費税として徴収された税金58.6兆円のうちほぼ全額の54.7兆円!(93%!)は社会保障費として使われている。社会保障費の支出合計は137.8兆円!もある。主要3税の2.4倍!もの額だ。
複雑にすることは為政者にとっては非常に都合がいい。見えない「ステルス」状態で値上げや無駄遣いも可能になる。いわゆる「愚民政治(=民を愚かな状態にする)」の典型例だ。今回の「103万円の壁」問題も、私には「猫騙し」にしか見えない。課題は「壁の位置」ではない。
課題は「簡素」だ。それを実現するDXの技術レベルは十分にある。ゼロベースで見直すことではじめて税の3原則「公平/中立/簡素」が達成でき、社会全体の生産性が上がる。パッチワークはもう終わりにすべきだ。