ではなぜ為替レートはこれほど極端に変動するのだろうか?

固定相場制(1ドル=360円)の時代には、好景気で輸入が増えるとドル高円安になり、1ドル=360円の±1%に収めるために円買いドル売りをしていた。そうすると外貨が不足し輸入が出来なくなり、景気が腰折れするという循環があった。だから当時は「輸出で外貨を稼ぐ」という時代だった。

しかし1971年のドルショックで変動相場制に移行し、投資が自由化され、外貨が自由に手に入る時代となった。そして「貿易黒字で外貨を稼ぐ」など全くの見当はずれな時代となった。それと良く聞く「円安になると輸出が伸び、円高になると逆に減る」という話も同様だ。ではドルショック以降どんな変化が起こったのだろう?

固定相場制時代は厳しく管理されていた資本取引が自由になり、資本取引が爆発的に増えることになった。現在は貿易(実物取引)ではなく、資本取引が主役の時代となっており、資本取引は実物取引の125倍!もある。

だから為替は資本取引で決まり、実物の取引で動くわけでは無い。例えば日本が貿易黒字国だから円高になるなどの関係は無い。そして現在は、為替と貿易(実物取引)は全く無関係な時代になっている。だから「円安になると輸出が伸びる」とか「円高になると輸出が減る」という因果関係も一切ない。

それに「輸出だけが伸びる」とか「輸入だけが伸びる」こともあり得ない。世界は繋がっており「輸出が増えると輸入も増える」「輸出が減ると輸入も減る」が正しい答えだ。