マスコミの偏向報道は今に始まった話ではないが、社会保障問題(特に年金問題)においては、「少子高齢化で年金崩壊!」とかひどい報道が続いている。日本のマスコミは本当に「間違った危機」を煽るような報道が大好きだ。

ハンス・ロスリング(1948~2017)が著書「ファクトフルネス」で「戦争、飢饉、自然災害、失政、腐敗、テロ、リストラ…世界にはいつだって悪いニュースが溢れている。反対にゆっくりとした進歩は、どれだけ大規模で多くの人に影響を与えたとしても、新聞の一面に載ることは無い。」と憂いていたことが良く分かる。

しかし、どんなに悪い報道が世の中に溢れていようと、ハンスの主張通り「世の中は確実に良くなっている」ことを忘れてはいけない。そして日本の社会保障制度についても同様のことが言える。どんなに悪い情報で溢れていようとも、「日本の社会保障制度は、非常に素晴らしい制度」だ。

日本の社会保障制度は1961年という、まだまだ日本が貧しかった時に導入された。社会保障制度は「富の再分配」なので、社会が豊かでなければ成立しない。それを戦後間も無くの時期に成立させただけでなく、国民全てをカバーする「皆保険・皆年金」制度としてスタートできたことは「奇跡的」だと言える。当時の日本は、現在のベトナム程度の経済水準しかなかった中で、 「皆保険・皆年金」制度をスタートしたのは世界的にも例がない。みんなが等しく貧しかった時代で、助け合うことが当たり前だったので成立できたのかもしれない。