「成長が高まれば誰もが恩恵を受ける約束だった。」とノーベル経済学賞を受賞した経済学者のスティグリッツは述べ、「サッチャー、レーガン以来、40年間続けてきた新自由主義の実験は失敗した。」と断言した。
その中でも「トリクルダウン経済学」と呼ばれる神秘的な機能は全く作用しなかったと言っている。トリクルダウンとはシャンパンタワーのように上位層が豊かになれば、その利益が下の方に流れていき全体が豊かになると言う考え方だ。しかし実際には米国では全資産の40%は上位1%が所有しているという試算もあり、凄まじい貧富の格差が発生している。
スティグリッツは「米国の経済成長は著しく鈍化した。中間層の賃金は低迷し、下層部ではさらに悪化して実質賃金は60~65年前と同じ水準に落ち込んだ。アマゾンのジェフ・ベゾス氏やテスラのイーロン・マスク氏のように上位400人に生まれると分かっていたら米国は良い国だ。衰退する欧州より米国は成長しているように見える。しかし中間層に生まれるとしたら、それほど良い国ではない。平均寿命は他の先進国に比べ短い。医学分野で最高の研究が行われているにもかかわらず、富裕層と貧困層の平均寿命の格差は非常に大きい。」と非常に手厳しい。
しかしそれが現実のアメリカで、新自由主義という40年に及ぶ実験の結果であり、現在の分裂を生んでいる。
今回の大統領選からもアメリカの分断の様子がありありと見てとれる。アメリカは今後どこに進むのだろうか?